抗利尿ホルモンの働き
抗利尿ホルモンはいくつかあるが、それぞれ異なった作用をする。
ADH(バソプレッシンとも呼ばれる)
脳下垂体後部から分泌されるホルモンで、水の再吸収を促し高等張の尿を作る。
(高等張 血しょう浸透圧より高いこと。溶質が多く含まれている。)
集合管に作用し、アクアポリンチャンネルを増やすことで水の再吸収を促す。
ADHの分泌は血漿浸透圧、血圧、血液量によって制御される。
ADH分泌が増える要因
1.血症浸透圧の上昇(細胞外液量の減少による)
2.血圧の低下
3.交感神経の刺激
ADHの過剰分泌は低ナトリウム血症の原因となる。
アルドステロン
ナトリウムの再吸収とカリウムの排出を促す。
遠位集合管の主細胞に作用する。
ナトリウム再吸収の仕組み
Na+チャンネルを介して主細胞にナトリウムが取り組まれ、Na+/K+ATPaseによって腎間質にくみ出される。
カリウムはNa+/K+ATPaseによって血中から細胞内に取り込まれ尿細管へくみ出される。Na+/K+ATPaseによって細胞内のカリウム濃度が上昇するのでカリウムは尿細管に拡散する。(拡散は濃度の高いほうから低いほうへ)
主細胞にはカリウムチャンネル(ROMK)があるのでカリウムに浸透しやすい。
アンジオテンシンII 輸出動脈を収縮させ尿血流を下げることで利尿を妨げる。
またアンジオテンシンIIは血圧を上昇させる重要なホルモンでもある。
レニンアンジオテンシン系では血圧低下時傍糸球体細胞からレニンが分泌され、アンジオテンシンII を活性化する。
アンジオテンシンIIは副腎皮質からアルドステロンの分泌を促す。また脳下垂体後部からはADHが分泌される。